のどけからまし空巣被害にあった時の裏の裏わざ? アイルランドに限らず何処の国でもそうだが「あのよく目に痣をもらっている人」というのはいるも のである。 彼、ショーンもそんな喧嘩っぱやい一人である。 私自身も彼が目に青痣をつけているの を何度か見た事がある。彼の父親はスリランカ人で、母親は、アイリッシュとイタリアンのハーフなの だけれど物凄いベルファストアクセントで喋り、ベルファストの友人達でさえ彼の喋り方を物まねして みせる程である。 彼もやはりミュージシャンで、いわゆるブルースをやっている。ヴォーカルもギターも「あんな風に歌え たら、ギターが弾けたら」と思ってしまう程すばらしいのだが、何故か、彼の好みはマイナーな?ローキ ーでほとんど前衛的とも言える。気が向けば、あるいはリクエストされれば、1、2曲はため息が出る程 の演奏(←良い意味で)もしてくれるのだが、、。普段は私の理解をこえた音楽をやっている。で彼はミ ュージシャン以外にも、PAのレンタルや手配をしたり、ギターのディーラーもやっている。彼自信もコレ クターで、彼の家には所狭しとプレミア物のギターが置いてある。 ベルファストに住んでいた頃は、毎週水曜の夜、と言ってもパブが閉店になった後なのでほとんど木曜の 朝だがウエストベルファストにある彼の家でパーティー?の様な物をやっていた。 家での彼は、外では、 荒っぽく喧嘩っぱやい、彼からは想像もつかないほど、パーフェクトなホスト。 夏(ベルファストに夏が あるというならだけど)でも、本物の暖炉に火を絶やさないリビングには、ギターだけではなく膨大なレコ ードのコレクションもある。 飲物にもこだわる。 私達が何が飲みたいと言えば大抵の物は揃っている。 趣味人らしく、料理にもこだわっていて腕前もなかなかだ。 もちろん田舎臭いアイリッシュ料理だけはな い。 スリランカ料理にいたっては、わざわざ食材を自分で輸入する凝りようだ。大して飲めない私には、 彼のキッチンのほうがずっと魅力的だったりする。 家の内と外であそこまで、人が変わるというのも珍しい。 おまけに彼は物凄く気前が好い。 奴は以前 彼にギターを一本プレゼントされたのだが、xx年のフェンダーのテレカスターのXXというやつで、東京と某 楽器店では、70万の値段がついていたののさらにレア物らしい。 そんな彼から、ドイツにいる私達の所に電話があった。今度、ドイツでギグをやると言っていたので、その スケジュールが決まったのかと思ったら、なんと空巣に入られたというではないか。 しかも、盗まれたのは、 コレクションしていたギター。 かなりショックを受けていたらしく、(そりゃあそうだ。)奴も電話口で、 「なんてこった、なんてひどい!」と言うしかなかった。 確かにベルファストには空巣が多い。 私の友人や知人も軒並み被害に合っている。だから、仕事を終えて帰 宅したら、あるいは旅行から帰ってきたら、家の中が空っぽという話は珍しくない。 換金できそうな物、テレ ビ、ビデオ、ビデオカメラにカメラといった物を根こそぎ持っていくのだ。 中には、2度続けて被害にあった 知人もいる。 盗まれて、仕方なく新しいのを買いそろえたら再びやられた。というわけだ。それが理由で引越 をする人もいる。 しかし今回は、家電、オーディオの類いは一切、手をつけられていない。ギターのみ。 大抵、 空巣にやられたなんて聞いてもすでに慣れてしまっていると、家電やオーディオならすぐに買い替えれば好いし 「災難だったね。」で終わるのだが、、さすがにこの時は嫌な気分。 彼にとって、そのギターが大切なもので、 それに、買替えるっていっても滅多に手に入らない物ばかり。 しかし、ショーンのこと勿論そこで泣寝入りはしない。 後日電話で、ドイツに来る日程とともに、ギターを 取戻したと話をしてくれた。 彼が警察に届けたかどうかは知らないが、でも彼の住んでいる地域では、警察な んて、何とかの突張りにもらないから。 というか、「プロテスタントはカトリックというだけで、見境なく人 を殺すけど、おれたちカトリックの人間はそんな真似はしないやつらが警官だから殺すんだ。だから絶対にプロ テスタントの住んでいる地区には行かない」とパブで私に真顔で話してくれた人もいるといった存在。 それでも、最近は一応被害届なりは出すようになってきているらしい。 ある友人は、タクシーに乗っていて、 運悪く、カトリック居住区の警察署の傍で、そのタクシーが追突され、 大した事故ではなかったのだが、タク シーの運転手と追突してきた車の運転手で車の様子を調べてる間、先に警察署に行っててくれといその警察署を 示され、取りあえず、言われた通り行はいいのだが。 しかし入口が見つからない。 窓もない。 結局彼女は 運転手がやってくるまで中に入れずじまいだったそうです。 何しろ入口が見つからないのだから。 それもそ うですよね。 戦場の最前線基地にいるようなものなのだから。 私も初めてその巨大な納骨堂のような建物を 見た時に「あの建物は何?」と聞いて「警察署」と苦々しそうな答えが返ってきた事を覚えてます。 話がそれてしまったが、どうやって彼がギターを取戻したかと言うと、使ったのは昔ながらの方法。 賞金を掛 けた。つまり、IRAの所に行き、「ギターを盗まれたけど取戻したい。見つけてくれれば、£1,000出す。」と 言っただけ。 で翌日には無事ギターは全て彼の元に戻ってきた。 彼の事を考えるとホント良かったっていうかホッとしたし、取り合えず一件落着、めでたしめでたし? |